そして、この物語もそろそろ終わる――――――
・・・・・・・・ぽつり。
ジースターはぼんやりと目を覚ました。
あいつがどうなったのはともかくとして、ぼんやりと―――――
目に入ったのは、しろい天井。
なぜかいつも寝なれないような、しろいシーツ。いつも自分が使っているものより、数倍は高価そうなものだ。
はっとして目を覚ます。
ココは・・・・・・
それから身体を起こそうとして、伸びてきた手に阻まれる。
「あ、起きたね」
リリーだった。
いつもとは違う白い服を着ていた。赤いドレスはどこにいったのか分からなかったが、彼女が着ているのは白いブラウスにスラックスだった。
「ちょっとまて・・・・・・ここはどこだよ?」
明瞭としない意識のなか、ジースターはリリーに訊ねた。
彼女はくすくすと笑って、指を立てて見せてきた。
「さあ、どこだと思う?」
聞き返されてもこまるというものだが。
だが、妙にくる小さなゆれと、部屋の装飾からして、すこし予想がつきそうなものだ。
「船か・・・・・・・」
「正解」
リリーはニッコリと笑って、ジースターのとなりに倒れこむようにして寝転がった。
彼女の目の下にはくまができていた。眠ってないらしい。
きまりが悪そうにジースターは頬をかくと、リリーのやつれた顔を見つめながらきいた。
「その・・・・・・大丈夫か?」
「あんたこそ大丈夫? あばらイッてたらしいけど?」
彼女はあいかわらずにこにことこちらを見てくる。
だがその顔には疲労の色が濃い。
「でもね・・・・・・・あたしたちこれから新しい所いくんだよ。そこで別な生活はじめるの」
「・・・・・・・・おめでとう」
「あんたもだよう」
そういってリリーはジースターの頭をこつんと叩いて見せた。
ベッドに入れる前にシャワー浴びさせたから、血の匂いやあとなどはついていない。
リリーが一人で気絶している男をシャワー浴びさせたのだから、それもそれで重労働ではあった。
だが、どうでもいい。
「どうしようか。昼間だし、上に上がってみようか? それともここで寝ようか?」
「寝よう。お前眠そうだ」
ジースターはそういうと、リリーの身体を抱き寄せた。
あいかわらず暖かい、彼女の身体。
彼女はこちらを見上げてきた。
その顔は、からかうわけでもなく、笑うわけでもなく、真面目というわけでもない、微妙な表情を浮かべていた。
「・・・・・・・好きだよ。ジースター」
ジースターは頷いて、彼女の唇にキスをした。
リリーは唇を離すと嬉しそうに笑って、ジースターの胸に自分の顔をおしつけた。
彼の怪我をしている部分を避けながら、ゆっくりとまどろみはじめる。
数分もすると、二人は小さく寝息をたてていた。
その客船は、朝の空気が漂う海の上を煙を立てて進んでいく―――